九州建築選2011が発刊いたしました。

「九州建築選2011」が発刊いたしました。
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沖縄支部会員からは

佳作作品:
伊志嶺敏子氏「かたあきの里」

奨励作品:
門口安則氏「Connected flow/繋がりながれるように」

が見事選ばれる結果となりました。 pages.jpg

島田支部長の審査所感も掲載されていますので、みなさんご購読お願いいたします。

九州建築賞2012の応募要項も既に支部HPにてでていますので合わせてご確認下さい。
発行:(社)日本建築学会九州支部 http://news-sv.aij.or.jp/kyushu/


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審査所感

建築九州賞も5回目を迎え、今年度も充実した68の応募作品が集まった。1次選考で32作品が選ばれ、2次選考のプレゼンが行われた後、最終の現地審査に12作品が残った。

 私は、都合でその中の2作品だけの現地審査に参加した。いつも感じることだけど、建築は実際に見なければ最終評価は難しい。敷地環境との関係性や機能面での解決方法など、設計者が導き出した解に、なるほどと納得したり、スケール感や素材感、ディテールに感心したりと、現地でしか体感できない感覚がある。

 1次の書類選考で写真や図面、作品説明を読んで判断しなければならない事では、いささか応募者に申し訳ない気がする。また、2次選考のプレゼンにおいても、できるだけ多くを読み取ろうと、耳を傾け質疑応答をするのだけれども、限られた時間内ではなかなか難しいものだ。それは、設計者の熱い思いが結実した作品が集まっているのだから、その中から選考基準によりふさわしい作品を、最終の現地審査作品として選ぶことに逡巡するのは当然のことかもしれない。

 さて、私が実際に見ることができた2作品についての所感を述べたいと思う。「諫早市こどもの城」を訪ねたのは、12月の寒い日だった。小高い丘の頂に配置された建物の、低いエントランスを抜けると、勾配と高さの異なる天井によって、様々に連結されたダイナミックなワンルームの遊びスペースが広がっていた。様々な形態の空間が連続して混在する様は、丹精に組み立てられた、上等なおもちゃ箱のようだった。子供たちは敏感にそれを感じ取り、想像力を描き立てられ、歓喜するであろう。秀逸な建築である。

 「与那原の家」は、想像したより開放感があった。住宅の中央に設けられた玄関と一体になった台所、食堂の平土間が住まいに求心力を生み、そこへの視線の抜けが、花ブロックに覆われた外観写真の印象とは違ったのだろう。おおらかで、原初的で荒々しく、ノンディテールの建築は清々しくもあるが、それは、沖縄の風土性に拠るものだろうか。

JIA沖縄支部長 島田  潤